蜂蜜革命 9 後編
なぜ…… ?
頼み込んで縋ってでも、それでも聞かせたくなかったのは気付いてしまったからだ。
アイツの意に背くことはしたくないと思っている自分に。
何故?
「ただいま、」
「おかえり、雅人くん、お邪魔してるよ」
いつもの柔和な笑顔で藤木が二人を出迎えた。
「藤木さん、また来てたんですか、あなた自分の診療所はどうなってるんです? 」
二人が部屋へ戻ってくる前に話はついた、それでも不安で仕方がない、苦しくて、どこか遠くへ逃げ出したくなった、でもそうも行かない、拓巳は帰ってきた二人から隠れるようにリビングを出た。
「もうずっと開店休業中、こないだルミちゃんに文句言われちゃったよ、私を失業させる気ですかってサ、」
「でしょうね、あなたも…… 」
そう言いかけて、守谷は気が付いた、拓巳の姿が見えない。
それに片付けておくように言っておいた机の上が乱雑なまま、今朝飲んだお茶のカップがまだ置きっぱなしになっている。
アイツはあれで結構几帳面だから言いつけた仕事はどんなことでも時間内に終わらせるはずだ、ましてこんなただ片付けるだけのこと、十分もかからないだろうに。
どこにいるんだろう? 小声で雪柾に言いつけた。
「拓巳が見えない、さがして様子見てきて」
「はい、」
言いつけてから当然のように客用の椅子に座り、どこかニヤニヤとしながら此方の様子を窺ってるような藤木の方を見た。
「もう拓巳も身体はなんともなさそうですし、そんなにちょくちょく来なくてもいいんですよ、そろそろ本業のほうに戻ったらいかがですか? 」
椅子に腰を下ろし、机の上を片付けながら嫌味を言ってやると藤木はあくまでも優しげに笑ったまま静かに答えた。
「俺が来たいから来てんのよ、俺には拓巳のほかに大切なものなんてなにもないからね」
藤木はこれでも将来を嘱望されていた優秀な外科医で、自分が調べたかぎりどこの病院でも評判はよかった。
両親そろって優秀な医師で、父親は大学病院の院長をしている。
藤木自身の人生のレールも父親と同じく間違いない道へと続いていたはずだった。
一介の町医者になってしまった今でもいくつかの大学病院から声がかかっているのも知っているし、父親からは年中戻ってくるように圧力をかけられているらしいことも知っている。
それらをみんな断って小さな診療所に立てこもり、監察医を兼ねながら日々を自堕落に送っているのはみんな拓巳への歪んだ愛情からだ。
いつ、どこで間違えたのかはわからないが、この人はもう全てを捨ててしまっている。
拓巳を探すために、少しでも近づくために監察医にもなり、金次第で暴力団や犯罪者相手に非合法な仕事も請け負う、闇医者としての裏の顔があることも知っていた。
全ては拓巳のために、拓巳を探すために、拓巳に近づくために、地位も名誉も世間体もない、金も安楽な暮らしもみんな要らない、正常な神経さえも捨ててしまった藤木の欲しいものは、もう拓巳だけなのだ。
以前、拓巳が死にかけた時、生きてさえいてくれればそれでいいからと拓巳の幸せを願い、一度は諦めたように見えたのに、また螺子が緩んできているようだ。
最近特におかしくなってきているような気がする、これ以上この人をウチに出入りさせるのは危険かもしれない。
ここのところ馴れ合いすぎた、自分たち、自分や雪柾でさえそうなんだから拓巳にこの人を追い返すことは出来ないだろう。
思考をめぐらす守谷に離れた位置から雪柾が合図している、こっちへ来てくれと呼んでいるのだ。
「失礼、ちょっとココで待っててくださいよ」
わざわざココで、と念を押してから席を立った。
呼ばれた場所、キッチンの隣の収納部屋へ行くと雪柾が拓巳を背中越しに抱きしめていた。
「どうかした? 」
拓巳は振り向かない。
逃げようとしているらしい拓巳を困惑した表情で見ている雪柾の説明によるとどうやら藤木に邪魔ばかりされて結局一日なにもできなかったのが悔しいらしい。
でもそれだけじゃなさそうなのはなんとなくわかった、だって微かに麝香の香りがするじゃないか。
「あの人となにかあった? 」
もちろん拓巳が答えないのはわかってる、でもそう聞くだけで答えを得たと同じだ、拓巳は嘘がつけない。
「もういいよ、わかったから、」
雪柾に後を頼んで藤木のもとへ戻った、人の家でこれ以上好き勝手されてたまるもんか!
リビングに入るなり藤木の目の前のテーブルを叩いて睨み付けた。
「渡してあった合鍵、返してください、今すぐに、」
そのとたんに藤木は挑戦的に凶暴そうな目になった。
「なんで? 」
「あなたは職権乱用が過ぎる、これからはなにかあったらこちらが出向く、ウチへの出入りはお断りします、」
「わかった、返すよ」
少しきつく言ってやったら藤木は思いがけずあっさりと鍵を返した。
そして獲物を狙うハイエナみたいなあさましく不敵な態度でキッチンのほうへ近づいていく。
「どこへ行く気です! 勝手なことは…… 」
引きとめようと追いかけた守谷を思いがけないほど強い力で突き飛ばし、収納部屋、雪柾の腕の中にいた拓巳のところへ行き着いた。
「曽我くん? 俺いつかキミを殺すかもしれないよって前にも言ったよね、」
狂気を秘めた瞳で、拓巳を抱き締めている雪柾を睨んだ藤木が静かにそう呟きながら二人に近づいていく。
雪柾は小さく震える拓巳の肩を軽く抱いたまま少しだけ下がった。
「俺から拓巳を奪う気でいるなら、それ…… 実行しちゃうかもしれないよ」
するとソレまでおとなしく雪柾の腕の中に納まっていた拓巳がそのセリフを聞いたとたん反射的に顔をあげ藤木を睨んだ。
「貴様…… いい加減にしろよ」
そう呟いて、ゆっくりと立ち上がり藤木のほうへ振り向いたと思ったら、もう止める間もなかった。
拓巳は最近にはない、素早さで藤木の胸座を掴み、いきなり平手を食らわせたのだ。
「これ以上勝手なことを言う気でいるなら容赦しない、死ぬのは貴様のほうになるぞ! 」
その瞳は以前の、記憶をなくす前の秋坂と同じように、野生の虎みたいに輝いていた。
「秋坂! やめろ、」
「拓巳…… ?! 」
「拓巳! 」
雪柾にチカラずくで押し戻されて二発目の拳は当たらなかった。
だがまるで牙をむいた獣のように唸る拓巳にはさっきまでの痛々しいほどの殊勝な部分はかけらもない。
あの事件以来ずっと眠っていた拓巳の中の獣が目を開けた瞬間だった。
しかしウチの中で刃傷沙汰をおこされてはたまらない。
雪柾に拓巳を引き止めさせて守谷は慌てて藤木を部屋から連れだし、玄関を開け外へ追い出した。
「今日は帰ったほうがいい! わかるでしょ、あなたは寝た子を起こしちゃったんですよ! 」
「……みたいだね、」
そう言った藤木は少し嬉しそうに笑ってさえいた。
「なにがおかしいんです? 」
「ああ、だって、なんかホッとしちゃって…… 拓巳は消えてなかったんだなあって、」
藤木の瞳からはさっきまでの狂気を帯びた光は消えていた。
「厄介だけど、あのほうが好きだな俺、あんまり可愛いと苛めすぎちゃうしね」
「また呑気なことを…… 」
「でも、キミも同じこと考えたでしょ? 」
実は考えた。
たしかに、突くとすぐへこむような拓巳より噛み付いてくるくらいのほうが好ましい。
「また来るよ、拓巳が野生を忘れないうちに突きにね」
藤木は本当に芯から嬉しそうに手を振って帰っていった。
NEXT. BACK.
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ハギーを探せ!!(笑
デカイ通行人(笑
こないだきた萩メール。
もう「おこしやす」には堀田くんでないけど、
デカイ通行人で最終回にちょっとだけ出ると書いてあったので、
今日は必死に見た![]()
どのシーンにどのくらい出るのかは不明なので、
ぜひともハギーの姿を探してみてください!
多少変装してるとのコトですよ♪
そりゃもうスタイルいいから、背中でもわかっちゃうよ ![]()
変装って、眼鏡かけてるだけだし・・・ww
(うっかり眼鏡に萌え
)
こんな後ろ姿にさえ萌えられる ![]()
私って・・・ ![]()
あ〜・・・おこしやすが終わっちゃったよ。
SPAはいったいあと何回やってくれるんだろうか・・・ ![]()
神様! ハギー中毒の私を見捨てないでください ![]()
紅椿 9
同じく光って見える汗に濡れた身体。
部屋中に充満してくる。
熟れて、熟しきって、腐り落ちる寸前の南国の果実の匂い。
その熟れ過ぎた匂いに眩暈がする。
淫らな声をあげ、反り返る背中に見惚れ、半分意識も溶け出したように頭の芯がクラクラしてくる。
左手でかき回す女芯が、熱く激しく収縮を繰り返し、俺の指を侵蝕している。
なんだかこのまま蓮也の中で溶けてしまいそうな気がして心臓が痛くなった。
ネチャ、と音を立てて、指先まで腐り落ちていく。
滴る甘い液体がまるで有毒の蜜のように俺を、そして部屋中を犯していく。
「れん…… や」
意識が溶けるその前に、もう一度お前の声が聞きたい。
「蓮也…… ! 」
名前を呼んでも、蓮也は答えない。
自らの快楽に溺れ、俺のコトなど眼中にないみたいに漏らされる、蓮也のうわ言のような喘ぎ声と、滴り落ちる蜜のネチャネチャという陰湿な音だけが部屋中に響いている。
仕舞いには声をなくしたように、蓮也は声すら上げなくなった。
「蓮也!! 」
お前の声が聞きたいんだ。
あまりに俺を省みない蓮也に胸の奥が引き裂かれるような痛みを覚え、俺は俺の凶器を蓮也の後孔から引き抜いた。
「ぁ…… っ、」
突然失われた刺激に、蓮也の失望が見えた。
ベッドの上で、四つ這いになったまま、汗を滴らせながら、女芯から匂い立つ蜜を溢れさせ、肩で息をしている蓮也は暫くするとまるで獣のように光る目をして振り向いた。
絶頂の手前で失われた快楽が蓮也の怒りをかったらしい。
声はないが、その瞳は憎しみを宿している。
でも、このまま俺を見ない気でいるなら、もうシテヤラナイ。
そういうつもりで睨んでくる蓮也の顎を捉え、濡れた唇を奪った。
だが激高している蓮也はその口づけでさらに怒りを増長させたらしい、一瞬固く閉じられた瞼を薄く開け、輝くオットアイで睨みながら俺の舌に噛み付いてきた。
「痛ッ!! 」
慌てて離れる。
蓮也の紅い唇から、一筋の血痕が流れていく。
吸血鬼。
バンパイヤに命を吸われる気分ってこんな感じなのかも知れない。
ヤバイくらいエロティックな、蓮也の光る目と、紅く濡れた唇に魅入られて、しばし痛みも忘れてしまった。
「…… 」
相変らず、獣みたいに四つ這いになったまま軽く唸り声を上げ威嚇してくる。
ホント、お前ってば野獣なみだね。
ドコもかしこも。
油断してると喰われそうだ…… 。
必死に威嚇している蓮也の薄紅色に濡れた女芯がビクビク蠢いているのが見えた。
ポタリ。
シーツの上に粘ついた蜜が落ちていく。
凄い…… 蓮也の滴らせた愛液で、シーツに焼け焦げた穴が開きそうだ。
光る目。
濡れた唇。
濡れた女芯…… 。
逆らいがたい悪魔の囁きみたいに、蓮也の女が誘ってる。
秘密の入り口から突き出た白く細い手が、おいでおいでと手招きを繰り返してる。
コレを見て、平静でいられる男がいるなら、そいつはまさしく神か悪魔…… 。
いや、神すら惑わされ、悪魔でさえ騙されそうだ。
強烈な眩暈の中、此方を睨んでいる蓮也の手を引いて今度は仰向けに転がした。
「蓮也、ほら、欲しいんだろ? 自分で開いてみせな、上手く誘えたら続きをあげるからさ…… 」
「…… 」
蓮也はただ悔しそうに瞳を光らせてる。
実は俺もギリギリ。
俺が折れるか、蓮也が折れるか。
これは我慢比べみたいなものだ。
やがて蓮也が先に折れた。
自ら足を開き、自分の雄蕊に手を添えて扱きながら、夢見るような虚ろな視線で宙を見つめている。
片手で自分を慰めて、もう片方の手で手招きするようにして俺を呼んでる。
「とうま…… 」
とうとう蓮也は俺の名を呼んだ。
「来いよ、唐馬…… ァ、」
もう我慢出来ないらしい、目を閉じた蓮也は夢中で自分を昂めている。
「早…… く、しないと、先にいく…… ぜ? 」
ハァと息を吐き、本当にイキそうな蓮也を慌てて止めた。
ココで逝かせるワケにはいかない。
でも努めて冷静な声を作って目いっぱい虚勢を張った。
「……良く出来ました、あんまり可愛くないけど、お前にはそれが限度だろうね、」
自分自身を扱いている蓮也の手を外してやり、濡れてヒクついている女芯に指を当てた。
ヌチャッと湿った音がするその部分を見つめ、少し凶暴な気分になった。
続
+ 咎人の恋 + 2
― 月の恋 1 ―
「蓮(れん)? どうかした? 誰? 」
受話器に耳を押し付けるようにして佇んでいた蓮に、台所にいた由佳里(ゆかり)が声をかける。
蓮は思わず受話器をおいた。
「いや、なんでもない…… 間違い電話だよ」
そう答えた蓮の手はガクガクと、目に見えて震えていた。
その手を見つめ、そっととった由佳里が、蓮の痩せた背中へ手をまわして抱きしめてくる。
「大丈夫よ…… 大丈夫、私がついてるから、ずっとついてるから」
「……由佳里」
電話の主は薙(なぎ)だった。
柳原 薙(やなぎはら なぎ)、それは蓮と同い歳の、そしてかつては親友と呼んでいた男だ。
――――――――
蓮が薙と出合ったのは高校一年の時だった。
その頃、父親がヤクザであると言う特殊な事情のせいで、蓮には友人がいなかった。
子どもの頃からずっとそうなのだ。
父親がヤクザの組長をしている。
そう聞けば大抵のヤツはビビる、最初は友達だと思っていても、父親のことを知ると、逃げていく。
最初普通に接して遊んでくれている友達も、蓮の家庭事情を聞くとみんな離れていった。
ヤクザの息子だ、父親は組長だ、機嫌を損ねたら何をされるかわかったもんじゃない、みんなそう思っているようだった。
それは仕方がない、たぶん普通の家庭に生まれていたら、自分だってそう思っただろう。
そう思って堪えた。
そして、ソレとは逆に、蓮のバック、ヤクザの組長の息子、という肩書きを当てにして、無駄に媚び諂う輩も案外多かった。
大きくなって、中学、高校になると、途端にへつらうヤツは増えた。
みんな蓮の後ろにいる父親、ヤクザの組長という肩書きにへつらっているのだ。
煽てて、取り入って、学内や他校との抗争に有利な立場になろうとしてくるのだ。
だがそんなモノに興味はなかった。
そんな奴等は邪魔だ、俺が欲しいのは上から与えられる権力や甘い蜜じゃない、そんなモノが欲しいという輩にはなんの興味も湧かなかった。
だが蓮は、そんな奴等には目もくれなかった、奴等が欲しいのは自分じゃない、そのバックだとわかっていたからだ。
そんな中で薙は、唯一、高塔のバック、家庭の事情と言うものを知らずに出会えた人間だった。
父親が組長であるコトは学内では周知の事実で、知らないものなど殆どいない中で、薙はその噂すら知らなかったらしい。
薙の朴訥で、優しい気質が、噂話などに耳を貸すようなことをさせなかったのだろう。
組長の息子として、普段から蓮には組員の幾人かがお守り役のように張り付いていた。
蓮を坊ちゃんと呼び、ちやほやと甘やかした。
だがソレも自分が偉いからじゃない、親父が偉いからだ。
もっとバカに生まれていれば、それでも良かったのかもしれない。
ちやほやと祭り上げられて、いい気になって、まるでそれが自分のチカラのように錯覚し、威張り散らす、そんな組長の息子という奴等がいるコトも知っていた。
だが蓮にはそう思うことは出来なかったのだ。
組長の息子、という部分を除ければ、自分はなんの価値もない、ただの頭の悪いガキでしかない。
それがわかっていた。
だから、なにくれとなく世話を焼いてくる組員たちにも、本当には心開くコトはなかった。
所詮は親父の笠の下、そう自分を卑下しながら、いつかはきっと、誰もが憧れる、実力で認められる、そういうデッカイ男になってやると心に誓っていた。
蓮はいつも一人だったのだ。
そんな時、入学したての高校の、同じクラスにいた薙に気がついた。
薙は蓮と同じくいつも一人でいた、だが蓮と違って嫌われているとか、恐れられているとかではないらしい。
一見すると、そっちのほうがヤクザじゃないのか? と聞きたくなるくらいな強面なのに、やけに生真面目な性格をしていて、悪く言えば融通がきかない、よく言えば正義感があるとでもいうのだろうか。
クラスが騒がしくて授業が潰れそうになった時など、一番後ろの席に座っていた薙が、ガタンと立ち上がり、静かにしてくれないか? 先生の声が聞こえない、と一言いっただけで皆、当の先生までが黙り込みクラス中水を打ったように静まり返ったりもしていた。
それはそれだけ薙が真面目であるという事なのに、何故かクラスメイトや先生までが薙を敬遠した。
たぶん、クラスメイト達は自分達のズルさを薙に見抜かれそうで敬遠しているのだろうと感じた。
その日蓮は家の離れにしつらえてある道場で竹刀を振っていた。
そして薙のコトを考えていた。
自分の場合はわかる、環境が環境だ、クラスの連中が敬遠するのも頷ける、だが薙は違う。
ただ身体が大きくて、少し厳つい顔をしている、というだけ、他にでなんの理由もなく阻害されている。
なのに、薙はそれに拗ねるでも凄むでもなく、いつも飄々としている。
「薙…… お前はなんで…… ? 」
散々竹刀を振り回し、疲れ果てた蓮は道場の真ん中に寝転んで思わず声に出していた。
まだ口を聞いたこともないクラスメイト、柳原薙のコトがなぜか頭から離れなかったのだ。
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萩レッド一応明日も出動があるらしい。
よかった良かった
そして
「おこしやす」
堀田くんはもう出ないっつうのは淋しいが・・・
デカイ通行人www
気になるわ。
29日はテレビに釘付けだぜ
蜂蜜革命 9 中編
「ゴメンネ、ついやりすぎたみたい? 次ん時はもう少し優しくしてあげるからね」
「そのセリフは聞き飽きた、何が優しくだ、お前いつも口ばっかりじゃねえか! 」
文句を言うのも悔しいが、黙っているのも悔しいと半睨み状態で怒鳴りつけると、藤木はさらに嬉しそうになった。
「いつも間が空きすぎるんだよ、毎日さしてくれたら優しく出来ると思うんだけどね」
あんまり呑気なセリフに思い切り脱力する、こんなこと毎日してたら死ぬんじゃないか? と本気で思った。
「あれっ? 」
突然、拓巳の髪を撫でていた藤木の手が止まる。
「なんだ…… 」
「キミ、ひょっとして思い出した? 」
「お前が言ったんだろ、思い出させてやるって、」
「言ったけど、え? ホントに思い出したの? 」
「……んなワケあるか、阿呆」
「え、でもさっき…… 」
「別に思い出したワケじゃない、ただ感じたんだよ…… お前と俺の関係ってのはいつもこんなもんだったんだろうなってな、」
勝手な直哉に翻弄されて、丸め込まれて誤魔化されて、結局また許してしまうんだ、今日も…… 。
なんとなくだけどわかる気がする。
記憶を失う前の俺はきっと直哉のことが好きだったんだろう。
直哉が好きで、でもたぶん、その思いと同じくらいの強さで直哉のことを憎んでいた、そんな気がする。
では今は? いまはどうなんだろう、別に憎くはない、では好きなのかと聞かれればそうなのかもしれないがよくわからない。
ボウッと考えこんでいると直哉が話しかけてきた。
「ねえ、キミ、今日中にやらなきゃなんない仕事があるって言ってなかった? 」
え? あ、ヤバッ。
「今何時だ…… ? 」
「えーと四時、四十五分くらい、かな」
四時四十五分? 向こうを三時には出ると言ってたから、もうすぐ奴らが帰ってくる時間じゃないのか?
「だから今日はダメだって言っただろ! どうしてくれるんだ、今日一日の予定がみんなパアじゃないか! 」
「ゴメン、」
「ゴメンじゃねえ! お前もう二度とウチへ来んな! 」
怒鳴る拓巳に藤木が情けない声ですがる。
「そんなァ、ね、休みの日とか、仕事が終わった後ならいいでしょ? 」
「ダメだ! 来るな! そのうち俺がそっちへいってやるから、もうここでは止めてくれ! 」
「……なんでよ! まさか彼らに知られたくない、とか? 」
鋭いところをつかれてギクリとした、知られたくないのは本音だった。
「別に…… 言いふらすことじゃないだろ、」
「俺は言いふらしたいけどね、」
取り繕った言い訳に藤木の機嫌はまた悪化したらしい。
「直哉! 」
何をこんなに気にしなければならないのかとも思うが、どうしても嫌だったのだ。
焦る拓巳に藤木はますます不機嫌になった。
「キミはあの二人のどちらを気にしてるの? そいつのこと、俺のことより好き? 」
そんなこと言ってる場合か、もう時間がないってのに。
「そんな事知るか! もうとにかく帰れ! 」
「ヤだね」
「直哉!! 」
その時、部屋の外でガレージに車が入ってくる音がした、奴らが帰ってきたんだ。
「…… 」
「ああ、もう帰ってきたみたいだね、心配しなくてもいいよ、今日仕事が出来なかった理由は俺が雅人くんにちゃんと説明して謝っといてあげるからさ」
そう言って藤木は部屋を出て行こうとしている、それは…… 困る。
「ダメだ、止めろ! 直哉、直哉!! 」
冗談じゃない、こんなアホな話を言いふらされてたまるか!
とりあえず服を着て、藤木を追って部屋のドアを開けた、非常に不味い、今度ばかりは状況がよくないような気がする。
それは暗転の予感だった。
「直哉! 待て、直哉、頼むから…… ! 」
追いかけて、捉まえてつい、弱気に出てしまって肩にすがったら藤木はいかにも冷酷そうな瞳で振り返った。
「頼むんだ、へえ…… そこまでしても黙ってて欲しいわけ? そうなんだ、」
氷みたいに冷たくなった瞳と声に凍り付いてしまってなんと答えていいのかわからない、息苦しいくらい動転してしまっている自分がどこか滑稽に思えて殆ど自虐的な気分になった。
何をこんなに恐れているんだろう、黙っていてもきっとわかってしまうだろうに口止めしてどうするんだ、だいいち、アイツは俺と直哉の関係をとっくに知っている、今更それを隠したって仕方ないのに。
でも、そういうことは好きな人とするもんだと言われたことが引っかかって…… 。
好きか嫌いかでいえば、好きだと思う、蒼も直哉も雪柾も守谷も、でも守谷の言う『好き』というのとは少し違うような気がする。
守谷の言う『好き』という言葉に特別な意味があるのはわかる、だから蒼にはもうしないと言った、なのに直哉は拒めなかった、ではイコール直哉が好きなのかと言われるとそれも違うような気がする、だから?
シャツの襟を掴んだままなにも言えなくなってしまった拓巳を見て藤木が仕方なさそうに息をついた。
「わかったよ、キミがそこまで言うなら黙っててあげる…… そのかわり、次の休みの日は必ずウチに来るコト、いいね? 」
「……わかった、」
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+ 咎人の恋 + 1
逃亡者、柳原薙(やなぎはら なぎ)はいつもその山の頂上にいて、はるか下に見える繁華街やネオンの灯る街並みを見つめていた。
頂上から眺めるその街は、かつて薙(なぎ)が愛し、その先の人生もずっと共に歩くと信じていた人が住む小さな街だった。
―― 裏切り者。
それは自分のほうなのか、それともその街に住むかつての友のほうなのか?
その疑問はもう何年も薙の胸に蟠っていた。
「裏切り者に用はない、出て行け薙、俺の前から消えうせろ! 」
その言葉が、薙が聞いた親友、高塔蓮(たかとう れん)の最後の言葉だった
高校時代を共にすごし、その先もずっと一緒だと信じていた最愛の友の最後の言葉。
―― 裏切り者。
裏切ったのは自分のほうだと、頭の隅でわかっていた、見て見ないフリをするコトは、高塔にとってそのまま裏切りだ。
それを知っていながら薙は見て見ぬフリをした。
抗いきれない命令に、どうにもならない上からの指示に高塔が苦悩していたことを知っていた。
そして自分や他の仲間たちのために涙を飲んで、意地を捨てて、信念を曲げてまでやらなければならなかったコトを、薙は知っていて気付かないフリをしたのだ。
「…… 」
心の奥で、頭の中だけで、高塔の名を呼んだ。
高塔蓮。
彼と別れてからその名を口にする事を薙はやめていた。
口に出せば堪えられなくなる。
裏切った事に、そして裏切られた事に…… 。
――――――――
薙と高塔が出合ったのは高校一年の時だった。
当時から臥体もデカク、顔もどちらかと言えば一見強面に見えた薙は案外目立つ存在で、同年代の少年達の群れからは少し離れた位置にいた。
と言っても別に特別ワルだったワケではなく、クラスの連中の薙に対する評価もそれほど悪いモノではなかった。
ただ強面にも関わらず、意外に生真面目な性格で、少しとっつきにくいと思われ敬遠されがちだったのだ。
だが薙も別にその位置を居心地が悪いとは思っていなかったし、特別寂しいとも思わなかった。
「薙! まぁた、ボウッとしてる、何考えてるの? 」
「え? いやなにも? 」
「嘘、どうせ最近出来た彼女の事でも考えてたんでしょ」
学校の帰り道、たまたまバッタリ出くわした中学時代からの友人、杉崎由佳里と並んで帰る道すがらのコトだった。
由佳里は夕方の空を見上げ何かに思いを馳せている薙の顔を見て下から覗き込むようにして言ってきた。
好奇心満々といった感じだ。
「かのじょォ? い、いねえよ、そんなモン、」
薙は驚いて、少し慌てた。
考えていたのは彼女じゃなくて、彼氏、高塔蓮のことだったからだ。
「本当かしら? 恋でもしてます、って顔だったわよ」
「してねえっての! 由佳里こそ彼氏の一人もできねえの? 」
「出来ないんじゃなくて、作らないのよ、私は」
由佳里が口を尖らせて怒っている。
薙はへんな自慢もあったものだと吹き出しながらペッタンコの学生鞄を肩にかけ、プイと横を向いた由佳里の顔を見てからかってやった。
「ホンットかよ、あぶれてるなら俺がなってやってもいいぜ? 」
「あいにく私、理想が高いのよ」
学校内で、一人でいることになんの違和感も持たなかったのは、中学時代からの友人であり、理解者でもあった由佳里の存在があったからかもしれない。
「あ…… そ、せいぜい理想に埋もれて行き遅れんなよな」
「ご心配なく、モテルのよこれでも、薙と違ってね」
「……へ、」
軽口を言い合って突き合い、三叉路で手を振って別れた。
薙は由佳里の後ろ姿が見えなくなるまでソコに佇んで見送っていた。
高校に進学して、それぞれ通う学校は変わってしまったが、由佳里と薙は男と女という境界をこえて、信じあえる友人同士だった。
時にはまるで姉弟のように、親友のように、そして伴侶のように語り合い寄り添う事のできた由佳里への想いが、友情から愛情へと変わるまでにはまだもう少しの時間がかかりそうではあったが、それでも由佳里は薙にとって心の支えだったのだ。
由佳里の姿が見えなくなってから、薙は再び思考をもどした。
さっきまで考えていたクラスメイト、高塔蓮のコトだ。
学内で一人であるという事には、それほどの孤独は感じていなかった薙だったが、時々、無性に誰かと話したくなることもある。
そんな時、目に付いてしまったのが同じクラスにいた高塔だった。
高塔は薙と同じようにいつも一人で立っていた。
ただ薙と違って高塔はクラスの連中から恐れられ、避けられて浮いていた。
だが薙にはそれが何故なのかわからなかった。
高塔は強面の自分と違い、とても洗練された佇まいがあったからだ。
頭も悪くは無い、成績は中の下くらいだったが、それはたぶん授業をサボりがちだった為で、本当は頭のいい奴だと感じさせた。
背は自分と同じくらいで、薙はその頃すでに身長が一八〇を越えていたので、自分と変わらぬ背丈の高塔だって決して小さくないハズだった、だが何故か小さく見えた。
その背中はいつもどこか寂しさを感じさせていたのだ。
昔から薙は気になりはじめると、止まれないタチだったので、それからずっと高塔の後ろ姿を、孤独を漂わせる寂しそうな横顔を見ていた。
「アイツはなんで…… 」
気になってつい口にまで出てしまった。
高塔は綺麗な顔をしていた。
決して女性的ではないが、どこか性別を越えた色気があり、時折見せる対峙する相手を射るような視線は野生の豹のように鋭く危険な香りがした。
と言っても、別にクラスメイトといざこざを起こすわけでもなく、授業をサボることは多かったが、決して不良であるとか、番を張っているとか学内を仕切っているとかいうワケではない。
どちらかと言えば寡黙で目立たない男だったのだ。
ハッとするほど綺麗で鋭い視線を持ちながら、まるでソコに存在していないかのように、気配を感じさせないことが多かった。
だから誰も高塔がいることに気付かず、いないコトに疑問も持たないことも多かった。
そしてたまにその存在に気付いた者は、何故か高塔を恐れその場を離れていく、高塔はそんなクラスメイトの態度に腹を立てるでもなく、悲しむでもなくいつも悠然としていた。
いつしか薙はそんな高塔に心魅かれ、まるで恋でもしたかのように見つめるようになっていた。
蜂蜜革命 9 前編
ノックもなくドアを開け入ってきたのは藤木だった。
「どこから入った? ……ああ、お前合鍵持ってたんだっけ、何の用だ? 」
聞かなくても目的は察しが付くが、勝手にこられるのはちょっとどうか思うぞと拓巳はため息をついた。
守谷と雪柾は仕事で出かけている、こういう間合いをはかるのだけは抜群な奴だな、大体コイツと二人きりになるとろくな結果にならないんだ。
「記憶、戻ったんだって? 」
藤木はなんとなく不機嫌そうに横目でこっちを見ている。
「別にそれほどのもんじゃない、ただガキの時に守谷に会ったことがあるのを思い出しただけだ」
それもそんなにハッキリと思い出したというわけじゃない、ただ目の前に守谷がいて、昔もこんなことがあったと思っただけなんだ。
一緒に眠って朝飯を食べて、なんでもない話をした、そんな情景が思い浮かんで、あれから俺はずっとあの時の奴を探していたような気がして、よくはわからない、でもやっと会えたと思ったら幸せな気分になって、ずっと行きたかった場所にたどり着いた、そんな気がしたんだ。
「手も動くようになったって聞いたけど? 」
「前よりはな、右と比べると多少動きが鈍いがなんとか動くようになった、なぜかな…… 」
「足は? 」
「ああ、こっちはあんまり良くない、少しはマシになったが、まだギアの入りが悪い、いまいちだな」
「ふーん、」
相変わらず不機嫌そうな藤木はますます怒ったような口調で睨んでいる、なにが言いたいんだこいつは。
「気に入らないね、」
「何が? 」
「俺のことは思い出さないワケ? 何で?! 」
何でといわれたって別にこっちだって記憶を選んで思い出してるわけじゃない、だいいち、守谷のコトだってあのときのことだけで最近のことはまったく思い出せないんだからたいした意味はないだろうに。
と心の中で文句を並べていた拓巳のすぐ目の前まで藤木はやって来た、そして部屋の真ん中で守谷に渡されていた携帯を弄っていた拓巳の肩を思いがけず強い力で引く。
「思い出させてあげる、」
「?! 」
いつもと違って目が穏やかでない藤木にベッドの上に引き倒された。
「直哉?! 」
「俺、怒ってるからね、ちょっと泣いてもらわないと気がすまないかもね」
「ばか、離せ! いい加減にしないと殴るぞ! 」
左手は動くようになった、前よりはずっとスムーズに、なのになぜだかなかなか藤木を引き離せない。
「……!! や、」
「最近雅人のガードが固くて、なかなかキミが一人にならなかったから今日のチャンスは逃さないよ」
こんな時にストライキを起こした左足はまったく言う事をきかなくて、元来非力な藤木のチカラにさえ競り負けた。
狂気を孕んだ目をした藤木に両手を掴捕まれて口づけられる、蒼とも守谷とも雪柾とも違う接吻。
熱くて甘い、なにかとても悩ましい香りがたちこめている、それは逆らうことの許されない有毒の蜜の味だ。
「ン……ぁ、直哉……! 」
甘い口づけに絆されて熱くなりかけた、だがしかし…… 。
「やめろ! 」
やっと動いた足で蹴りをいれ、少し怯んだ藤木の手を振り払った、すかさず跳ね起きて怒鳴りつける。
「俺は今日中にやらなきゃならない仕事を三つも抱えてるんだ! お前と遊んでる暇はねえんだよ! 」
「さすがに…… 動けるようになるとそう簡単にはさせてもらえないみたいだね、でも俺、今日はやめる気ないよ」
逆らいがたい視線、蛇に睨まれた蛙ってのはこんな状態を言うんだろうな。
「もうお前とそんなコトをする気はない! 帰れ!! 」
震えそうな語尾を抑えて後ろへさがった。
なんでこんなにコイツの目が怖いと感じるんだろうか、見た目どおりの優男じゃない、得たいの知れなさが怖い。
記憶にはないが、こいつに関わると、ロクなコトにならないような気がするんだ。
「そんなコト言ったって、逃げられないよ、震えてるじゃない? 悪いけど雅人はまだ帰ってこないよ」
その不穏な微笑みは凶器みたいに絡み付いてきて身体の芯まで沁みこんでいく。
そういえばアレ以来いつも守谷か雪柾が近くにいて、コイツと二人きりになることなんてなかったな。
キスと囁き、それだけで力が抜ける、なんでこんなに引きずられてしまうんだろう。
引きずられちゃダメだとわかってるのに、直哉の声と指先が魔法のように肌をすべるから、もう全てがどうでもよくなってしまう。
「愛してるよ、 ……キミは? 」
甘い痺れに酔わされそうになりながら、それでも必死で抵抗した。
でも何故だ?
手が動かない…… 足もチカラが入らない、逃げられない…… 。
「ヤメロ! なお……や! 」
泣いても叫んでも助けなんかこない。
俺はソレを知っている。
頭の隅で感じてる。
助けてくれと叫んでも、誰も助けてはくれないのだから、助けなど呼ばない。
俺はずっとそうして生きてきたんだ。
嫌っ、イヤだ!!
NEXT. BACK.
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先行きが見えません。
とりあえず、終りました。
「恋する詩神」
このまま事実婚で同棲生活へいくのかと言えば、たぶん
そうはならないだろうと思いますが・・・・・ ![]()
この続きを書くかどうか、今考え中です。
とある方から、あんまり一つのお話ばかりを書き続けすぎると、読者も飽きてくるよ。
・・・と、言われましたので。
そういえば、このブログでは「恋/長」シリーズしか書いてないなあ・・・ なんて。
でも、ココで違うキャラの話を書く気にもなかならないのが現状の気持ちです。
なので思案中・・・
旭の少年時代とか書くか・・・・
それとも、さらにこの先の続きを書いていくか・・・
それとも全然違う話にするか・・・・
あんまり間をおくと、忘れられちゃいそうなので、
早めに結論を出したいんですが、
どうしましょう・・・ 。
そういえば、久々にお絵かきしてみました。
ちなみに、これは旭、私が描くと↑こんな↑感じに・・・ ・・
ちょっとケバイ![]()
私の絵はどうもセンスが悪くて・・・![]()
で、↓コッチ↓が少年時代、だいたい14歳〜16歳くらい?
白川辰巳と中学高校に通学してた頃ですね。
あ〜〜〜〜 久しぶりに絵ェ描いた![]()
相変らず進歩がな〜〜〜い![]()
![]()
次回は・・・ まだ不明 ![]()
![]()
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紅椿 8
連れ帰り、治療をし、目覚めるのを待った。
だが目をあけてからもその子は一言も喋らなかった、最初口が利けないのかと思うくらい、何も言わない。
ただ大きな目でジッと俺達を見ているだけなのだ。
「この子、喋れないの? 」
ヤブに聞いたらそんなコトはないだろうと言われた。
声帯はちゃんと機能しているし、障害があるような感じでもない。
だが現実に喋らない。
それはたぶん、精神的な問題か、もしくは警戒して此方の様子を窺っているのだろうという事だった。
俺達に害意がないかどうか、この子は警戒しているのだ、それはヤブに言われてすぐに納得した。
ヤブの診断では、この子は成熟し始めた十二歳前後から、ホルモン剤と誘発剤を投与され、強制的に受胎させられてきたようなのだ。
今いくつなのかは知らないが、何年もそんな目にあい続ければ、誰だって他人を信じられなくなるだろう。
まして俺達は成人男子、この子にしてみれば自分を弄んだモノたちとなんら変わりなくみえるだろう。
怯えて警戒するのも無理はない。
その時の俺はその子、蓮也に酷く同情的だった。
喋らないので名前もわからない。
そうなるとなんと呼べばいいんだろうか?
困っていると、ヤブはハイライトを咥えながら答えた。
「れんや…… でいいんじゃねえ? 」
「え? なんで? 」
あんまりサラッと答えるので疑問に思って聞き返すと、ヤブはその子の右足首を示した。
ソコには幅一センチほどの金属で出来た足環が填められている。
つなぎ目のまったくないその足環は、その子の足首に食い込むくらいピッタリとしていて、どれだけ小さな頃から填められていたんだろうかと怖くなった。
コレでは切らないと外せない…… 。
「で、コレがなに? 」
もう一度聞くと、ヤブは指差して答えた。
「良く見ろよ、なにか書いてあるだろう? 」
言われるままに見ると、その金属の足環には、一見意味不明のアルファベットと数字が羅列されている。
そしてその無意味なアルファベットの列の中に、偶然か、それとも本当に名前なのかわからないが、確かにRENYAと読める箇所があった。
「れんや? コレお前の名前かい? 」
思わずその子に訊ねると、その子、蓮也はそうだというように小さく頷いた。
ようやく意思相通が出来た。
とりあえず蓮也はちゃんと意識も意思もあるらしいとわかってホッとした。
それから暫らくはやはり何も喋らなかったが、二週間も過ぎる頃、俺達が自分に害を及ぼさないと理解したのだろう、蓮也はようやく喋り始めた。
最初の一言は「腹が減った」だった。
それから徐々に喋り始めた蓮也は最初思っていた可愛そうな子どものイメージとはかけ離れた酷く乱暴で淫乱そうな口を利いた。
俺は知らず知らずのウチに蓮也に抱いていた柔らかく優しいイメージがぶち壊されていくことにショックをうけて、徐々に蓮也の病室を訪れなくなっていった。
だが、治療費というか、生活費を払っているのは俺だ。
一週間もした頃には気になりだして、落ち着かなくなった。
蓮也のコトを考えると何となく、胸騒ぎがして生きた心地がしなくなる。
その時はそれが何故なのかは思いつきもしなかったが、とにかく気になってしかたがなかったのだ。
そして数日後訊ねた蓮也の病室で、俺は信じられない光景を見た。
「蓮也? いるかい…… ? 」
病室のドアを開け、蓮也のいる筈の場所を見てもいない。
ドコへ行ったのか、治療費は払ってる、まさか退院したというワケではないだろう。
探し回った末、ヤブの私室に横たわる蓮也を発見した。
「蓮也…… ? 」
薄暗い部屋の、そう広くないベッドの上で、蓮也は淫らに足を広げ、ヤブと抱き合っていた。
続
蜂蜜革命 8
そういえば夜空の星なんてこんなにじっくりと眺めたことはなかったかもしれない、こんなことでもなかったら星空なんて一生見ることはなかったかもな。
今何時なんだろう、財布どころか時計一つ持っていないから何時間経ったのかさえ判らない。
直哉や守谷に携帯を持つようにと言われて実は買ってもらってはあるんだが、まだ使ったことがないし、あいにく今日は部屋においてきてしまった。
「携帯しなきゃ携帯電話とはいわないんだよ、」
守谷がよくそう言うのは聞いてはいた、だが本当に使わなければならない事態になるとは思ったことがなかった。
携帯が必要な事態…… 。
拓巳は今、山奥のまた奥、車も通らない市道、林道? にいた。
あたりは真っ暗で街灯ひとつない、その道沿いに一人で座り込んでいる。
蒼に置き去りにされたのだ。
「よせ、」
バイクを止めて口づけを誘う蒼をとめた。
「なんだ、何を急に…… 誰か好きな奴でも出来たのか? 」
「それはお前のほうだろ、女がいるんだろう? よくないんじゃあないのか? それでこんな事、」
そう答えたら、蒼は突然不機嫌になった、なんで今そんなことを言うのかと思ってるんだろう。
それでも強引に引き寄せられて落とされる口づけに不覚にも酔った、本当にコイツは…… 巧い。
木陰で酔わされて危うくこっちまでその気になりかけた、でも。
「やめろ、もうお前とはしない、」
「しない? しないで済ます気か? 」
「最初からそんな気はなかった、この間はどうかしてたんだ」
「どうかしていた? もう俺に飽きたのか、嫌いになったのならそういえばいいだろ」
そうじゃない、そうじゃないけど、でもきっと言っても分からないだろう。
「もう俺にはお前にやれるものは何もない、」
ソレは本当だった。
もともとあげられるものはこの身一つしかなかったから、ソレをわたせなくなったという事はもうあげられるものは何もないという事だ。
「つまり、お前は他に好きな奴が出来て、もう俺と過ごす気はない、そういうことなんだな、」
それは違う、そうじゃない、でも…… 。
「そう思ってくれてもいい、」
その言葉で本当に怒らせたらしい、熱く燃えるような目で睨んだ蒼に思い切り殴られた、二発。
「だったら帰りはそいつに迎えに来てもらえ! 俺はしらん! 」
そう怒鳴った蒼の声は少し震えていた。
そしてその場に引き倒されて動けなくなった俺を残し、蒼はバイクで走り去って行ったのだ。
「短気な奴だな、ま、俺もヒトもことは言えないか…… 」
どうやら蒼を傷つけたらしい、守谷の言うとおり、間違っていたのは俺のほうだったのだ。
しかしまいったな、迎えに来てもらえと言われたって、こんなところにおいていかれちゃあ連絡のつけようもないじゃないか。
「……ッ! 」
殴られたときか引き倒されたときか、どこか打ったらしい、もともと動きの鈍い左足はまったく動かなかった。
帰るどころかこの場から一歩もうごけそうもない、仕方なく座り込んだ、そしてそのままもうずっとこうしてボウッとしている。
蒼が戻ってくることを期待しているわけではない、もうアイツはこないだろう、ただ本当に動けなかったんだ。
置き去りにされたときはまだ明るかった、何時間経ったのかも判らないが、その間車は二台しか通らなかったし、二台とも道端に座り込んでいる拓巳には目もくれず通り過ぎていってしまった。
帰ろうにもここがどこなのかさえわからない、大体二時間ほど走ったはずだから平均時速百二十キロで走っていたとして単純計算しても家から二百四十キロは離れているんだろう。
普通に健康体であっても二百四十キロはかなりある、しかも今は本当に調子が悪い、左足がまったく言う事を聞いてくれない、コレでは立ち上がることも難しい、まいったな本当に…… 。
「黙って、一人で遠くに行っちゃダメだよ、どこか行くときは必ず携帯を持って行くこと、なにかあったら俺に電話してよ、すぐに飛んでいくからね」
と言ったのは直哉。
持ってこなかった携帯、連絡は不能、今頃直哉はどこにいるかな? 考えたってこんな山奥にあいつが来る訳もなく、テレパシーでもあればな、なんてちょっと弱気にもなる。
「本気? 本気でまたアイツと行く気なの? 」
「……別に走るくらいかまわないだろ? 」
「それだけで済むとは思えないけどね」
「今日は遅くならないようにする、もうアイツとはしない、それでいいんだろ? 」
「お前がそうでも相手がソレを納得するかどうか分からないじゃないか」
「煩い奴だな、だいたいなんで休みの日の行動までお前にとやかく言われなきゃならないんだ、どうしようと俺の勝手だろ! 」
今朝、守谷に出かけることを止められて喧嘩になった、最後は怒鳴りあいにまで発展して結局怒った守谷に勝手にしろと言われ殆ど喧嘩別れのように家を出てきた。
一度出て行ったら遅くなるのはいつものことだったし、喧嘩のあとだ、アイツも俺が今頃こんなところにいるとは思わないだろう…… 。
「頼むからあんまり心配させないでくれ、お前が帰ってくるまでなにかあったんじゃないかと気がきじゃない、今に禿げるんじゃないかと思うくらいなんだぞ」
そう言ったのは雪柾だった、今日は顔も見ないで出てきてしまった、今頃やっぱり心配してくれているんだろうか? でもそれもはじめだけだろう、何日かすればきっと忘れる、俺の存在なんてそんなものだ。
もう、会えないかもしれない。
そう思ったらなおさらに、顔くらい合わせてなにか言ってくればよかったと後悔した。
「…… 」
弱気になって思わず、口をついて出そうになった名前に気付いて少し驚いた。
俺はそんなにアイツを頼りにしてるんだろうか、会っている時はそんなこと考えたこともないのに?
ふと後ろを見ると、そこは真っ暗な崖。
明るいときに見たらたしか下は谷川だったような気がする、高さは三十メートルくらいだろうか。
落ちたら死ぬかな?
あいにくガードレールが高くてソレを乗り越えて飛び降りるだけのチカラもないし、間違って落ちるならともかくわざわざ好き好んで飛び降りたいとは思わないが、暗闇がこっちへ来いと誘ってるような気がする。
もし、ここで落ちて死んだら、上手くすれば骨になるまで見つからないかもしれない。
どうせ誰にも知られずに生きているなら死ぬ時も誰にも知られないで風化したい。
でも、なまじ誰かに腐乱死体で発見されて『 この人を知りませんか? 』みたいに尋ね人にされるのも嫌だな。
身元を証明できるようなものはなにも持ってないし、だいいち『 秋坂拓巳 』というこの名前だって、本当に俺の名前なのかわからない。
あいつらがそうだと言うからそう思っているだけで俺が誰であるかなんて本当にはわからないんだ。
守谷の事務所が今の俺の住まいではある、でもソレも本当に俺の居場所なのかは定かではないし、直哉も自分の住んでいる家の名義は俺になってるから、キミの家なんだからここに住めといつも言うが、ソレだってどこまで本当かわからない。
こんなところに一人でいると、全てに自信がなくなってくる、俺は誰だ? なんのために生きているんだ? こんな身体で生き続けることに本当に意味があるんだろうか。
別に死にたいわけではない、でも生きていく自信もない。
同じ死ぬにしてもこんなトコでただ衰弱死というのもあんまり様にならないが、しかしもう動けないのも事実で…… 。
「二百四十キロ? 遠いな…… 」
走ってきたはずの方向を見てまた絶望的な気分になった。
もうどうでもいいか。
ここまで絶望的な状況では足掻く気にもならないからとその場に横になった。
少し疲れた、もう眠ってしまおう、出来れば朝までには死んでいたいけど、あいにく凍死するほど寒くもないし、餓死するには早すぎる、明るくなったらまた目覚めてしまうんだろうな。
疲れと空腹と何か胸の奥の方で燻る暗い感情に支配され、自棄になったかのように、空回りし続ける思考を絶って拓巳は眠った、否、気を失った。
誰かに名前を呼ばれているような気がして意識が目覚めかけたけど、まだどうしても目が開かない。
心配そうに時々かかる声の主に抱き上げられてどこかへつれていかれる。
車の中のなかに乗せられているらしい、そして車は走り出した。
信号待ちの間などだろうか時々やさしく額や首筋に触れては名前を呼んでいる、聞いたことのある声、不思議な安心感。
やがてどこか目的地に着いたらしく、ドアが開けられ運び出される周りでなにか騒がしい声がする。
そして暖かい浮遊感。
まるで羊水のなかの胎児のように全身で感じる安心感。
その心地よい安心感のなかその誰かが何か言ってるのが聞こえるけど、なんと言われているのか言葉の意味が理解できない。
いつの間にかまた運び出されたらしい柔らかいベッドの中に下ろされたのがわかる。
そしてその誰かが額に手を当てまだ濡れている髪をかき上げている、そしておずおずと伺うような口づけがおりてきた。
「拓巳」
もう一度名前を呼ばれて今度は本当に気が付いた、目を開けて視線を絡めたその先にいたのは……
「……守谷? 」
目の前、本当にすぐ目の前、十五センチほどの距離で目が合った、守谷はどうしようかと困ったかのように慌てて離れ、まだあたふたとしたまま言葉が出ないらしい。
「お前…… 」
この状況はなんとなく覚えがあるような、アレは…… ?
「アレはお前だったのか? 」
急によみがえってきたシーンにダブった顔に聞くと守谷は何のことだかわからないようだった。
「アレって、何が? 」
「昔、俺を拾った? お人よしの大学生? 」
「ああアレ? そうだけど…… え? 思い出したのか?! 」
思い出した? そうだ、思い出したのかもしれない、全てをではないけれど、なんとなくおぼろげに輪郭が見えてきている。
俺の名前、俺の思い、そしてずっと考えてきたコト。
起き上がって部屋の中を見渡した、ここは守谷にあてがわれた俺の部屋だ、そして気が付いた、左手が前よりずっとスムーズに動く。
ためしに目の前の守谷のシャツを左手で掴んで引き寄せた、驚いて目を見張っている顔を堪能してみる。
なにかとても懐かしい、ああそうか、俺はずっと…… 。
「お前、手、左手、動くの? 」
間抜けな質問をする守谷の口を接吻で塞いだ。
「……?? …… 」
慌てて声も出ないらしい守谷の唇を心置きなく味わってから目を閉じた、そうだ、コレは俺の欲しかったもの、夢にまでみた桃源郷、今俺はそこにいるんだ。
深い安心感の中、また意識が落ちた、まだ完全ではないらしい。
「拓巳? ちょっと、なんでまたそこで寝ちゃうの?! コラ! 」
守谷の声、聞こえはするけど返事が出来ない、悪いなもう少し、もう暫く眠らせてくれ。
話の続きはまた後でするから…… 。
――――――――
夜、十一時もまわった頃、吉祥寺から電話が入った。
どうも要領を得ない会話のあと、拓巳が帰宅していないと聞くと長い沈黙の後で山中に置き去りにしてきたと短く場所を告げ電話は切れた。
置き去りにした?!
何があったのか詳しいことは一切言わなかったけど、あんな身体で帰ってこれるわけがない。
まして今日は出掛けに言い争いをしてしまったせいで携帯も財布もウチに置きっぱなし、助けも呼べない。
冗談じゃないぞ。
雪柾に後を頼んで慌てて家を出た、下手に動かないでいてくれたほうが助かるが、置き去りにしたという時間からすでに十二時間近く経っている、無事でいてくれればいいんだけど。
告げられた場所まで急いで車を走らせる、途中途中でなにか事故にでもあってやしないかと気が気じゃなくて注意深く現場あたりを探した。
そしてようやく路上で倒れている拓巳を見つけたときは時計の針はもう夜中、二時をまわっていた。
暗い林道の隅に周囲と溶け込むほど薄汚れて地面に横たわっている。
「拓巳! 拓巳、」
慌てて抱き起こしてみてもなんの反応もない。
泥だらけで意識のない身体、思わず心臓の音を確かめてしまった、動いてる、よかった生きてはいるようだ。
車に乗せて家へと急ぐ、信号待ちのたびに夢うつつの拓巳に何度も声をかけたけどまるで反応がなくて、これじゃあ昔と同じじゃないか、路上に倒れていた少年の日の拓巳を拾ったあの時。
あの時もまるで反応はなかった、このまま目覚めてくれないような気がしてだんだん怖くなってきた。
ようやく家について、泥だらけだった拓巳を洗ってやって部屋の中まで連れて入りベッドに寝かせて、それでもまだ目覚めない拓巳の顔を何度も覗き込んだ、どうしていいのかわからなくてただオロオロしてしまう。
「守谷? 」
と、何度目かに覗き込んだときにいきなり拓巳が目を開けたので、間近で目が合ってしまって慌てて離れた。
なにやってるんだ俺は、これじゃあまるっきり昔と同じじゃないか。
「お前…… 」
アタフタしてたら拓巳が声をかけてきた、なにか妙なものを見たような顔。
「アレは、お前だったのか? 」
え?
「昔、俺を拾った? お人よしの大学生? 」
静かな妙に優しい声で拓巳がきいた。
あのときのこと? 俺も今さっき同じ日のコトを考えていた、まるで以心伝心? 心が通じてでもいるようでホッと暖かい気持ちになってきた。
「ああアレ? そうだけど…… え? 思い出したのか?! 」
驚いて聞くと拓巳は暫く呆然としていたが、突然左手で俺のシャツを掴んできて、引き寄せられて焦る。
拓巳はジッと人の顔を見つめたまま動かない、なに? なんなのよ、ちょっと近すぎない? 顔。
え? ちょっとまってよ、シャツを掴んでるその手、左手?
「お前、手、左手、動くの? 」
我ながら間抜けな質問をしたなと思ったら、いきなり拓巳にキスされてしまった。
「……?? …… 」
ちょっと、いきなりソレは……?! あ、ダメだ。
熱い唇と熱い吐息に誘われて背中にキツイ欲望が走った、コレは…… 誘われてるのか?
甘く疼く優しい感情、お手上げだ、やっぱりこんなにお前に惚れてしまっている。
と、思ってその気になって、逆に少し押してこっちから仕掛けようとしたら、不意に拓巳の意識が落ちた。
身体から力が全て抜け、目を閉じてしまっている。
え? まさか、本当に寝たの? この場面で呑気に眠っちゃったわけ?!
「拓巳? ちょっと、なんでまたそこで寝ちゃうの?! コラ! 」
声をかけてももう目を開けなかった。
……おい、俺のやる気をどうしてくれるんだよ! ここで、この場面で寝るか?! 普通。
頭にきた! どうしてお前はいつもそう勝手なんだ、あとで覚えてろよ!
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ガルル様
ガルルさん!
もうメチャメチャカッコイイです!
少し三枚目チックなのがまた良い![]()
「つりはいらない」
・・・狼男さんはなんのお仕事してるんでしょうね?
金持ちなのね。
そしてあの片側にだけ毛皮がついてる上着が素敵![]()
ガルル色(青)なのね![]()
あのお城(?)にいる時のクラッシックなフォーマルも素敵ですが、
ラフな人間体もまたいいわ![]()
もしかして名前は次狼さん?
また来週も出るようですね、楽しみだ![]()
蜂蜜革命 7 後編
「うん、キミの推論どおり、拓巳の精神年齢はいいとこ十四か五だね、あともう一つ、大事なことがわかった」
「なんです? 」
「タクミが消えてる、」
「……って第一人格の? 」
「そう、」
「第一人格が消えるって、そんな事あるんですか? 」
驚いて訊ねると藤木さんはちょっと困ったような顔をしてあんまり面白くなさそうに答えた。
「正確には二つだった人格が一つに統合されてるってことかな、今ここにいる拓巳は二人の性格が混ざり合って出来てる、だから今までと違って感じるんだ」
人格の統合、それ自体は本来の正しい状態に戻ったって事なんだからいいことなんだろうけど、なんだか素直に喜べないのはここにいる三人共通の思いでもあった。
「こんな大事なこと、なんで今まで気が付かなかったんだろう、そうとわかってたら扱い方も違ってたのに」
無理もない、あんなことがあった後だし、怪我が治るまではそれどころじゃなかったし、記憶はない、麻痺は残るで、いろいろありすぎて人格の変化に気付けなかったのは俺も同じだ。
……でも、なんとなく納得できる。
俺がずっと感じてた違和感、どうしても同じ人間とは思えなくてつい虐めたりもしちゃったけど、それは本当に同じ人間じゃなかったからなんだ。
第一人格のタクミは左半身に麻痺があった、秋坂にはそんなものはなかった、そして今の拓巳には麻痺がある、これが統合の結果なのか。
そして、仕事中など特にとても従順になったこと、時々やけに素直でカワイイ反応を見せるようになったこと、それもこれもみんな統合の結果なんだ。
「それ、もう戻らないんですよね…… ? 」
「コレが正しい状態なんだから、また分離させるなんてわけにはいかないよ」
前の方がよかった。
なんて拓巳の前では絶対に言えないけど、そう思ってしまうのはやっぱり俺の、 ……俺たちの我侭なんだろうな。
結局、拓巳にはなにも告げないでおく事で意見は一致した。
拓巳本人は自分が二重人格だったことなんて覚えてないんだからあえて言う必要はないし、精神年齢にしたってもともと生意気に大人びて出来てるんだから多少低くてもあんまり差し支えないし、実際多少低いほうが扱いやすくて助かるってのもあるんだけどね。
しかし、わかってしまうとこっちのほうが今までどおりに振舞えなくなってきた。
どうしても子ども扱いしてしまうっていうか、お節介とわかってても世話を焼きたくなっちゃうんだ。
数日後、部屋の片づけをしている拓巳を後ろから捉まえて軽く耳を噛みながらワザと拗ねたように言ってやった。
「お前さ、あのキチジョウジってのが好きなの? 」
別に盗み聞きをしていたわけではないけれど、吉祥寺からの電話に何のためらいもなく次の約束をしたらしい拓巳を見てしまい、つい気になったったんだよな。
「……きっしょうじ、吉祥寺蒼、」
こっちが少し絡んでやってるのに、真面目に名前を訂正しようとするのがなんか逆に癪に障るじゃないか。
拓巳のことが好きなのだと自覚してしまってからというもの、こっちは日々穏やかではない。
吉祥寺どころか、藤木さんや雪柾の動向までが気になってきて、だんだん自分がとても嫉妬深い人間なんだとわかってきてしまってヤになるよ。
「名前なんかどうだっていいよ、好きなのかって聞いてるんだけど、」
「直哉じゃあるまいし、なんでお前がそんなこと聞くんだ? 」
拓巳のほうは全然何のことだかわからないらしい、まあ根がお子様なんだからしょうがないけど、この間の可愛らしい涙はなんだったんだ?
「なんでって、そりゃ気になるでしょ、ウチの前で堂々とキスまでしてさ、やっぱりそうう関係なワケ? 」
「そういう? 」
「だから、えっと…… 」
聞き返されて答えに詰まった。
すると拓巳は涼しい顔でケロリと言う。
「肉体関係? 」
「ああ、まあ……そういうヤツ? 」
こっちはお子様と違って意識しちゃうからわざわざ遠まわしに言ってるのになんでそうハッキリと言うかな、まったく。
「だったらどうだって言うんだ? 」
首をかしげて本当になんでそんなことを聞かれるのかわからないというように聞いてくるのが頭にくるね。
「そうなの? 」
「……こないだ、一度した」
その返事に正直のところズキンときた、なんでそんなに何でもなさそうに言えるんだ? お前は俺を好きなんじゃあなかったのか?
「って、やっぱり好きなの? 」
「なんでそうなるんだ、好きか嫌いかなんていちいち考えてからヤラないぜ普通」
「なに言ってるの、好きじゃなきゃヤラないでしょ普通、少なくとも相手のほうはそうだと思うよ」
「じゃあお前は俺が好きなのか? お前もしただろ、」
しただろって、そんな露骨な言い方…… いや確かにしたけどさ。
あの時はまだそんなに好きだという自覚は実はなかった、でも今はシッカリある。
「この前そう言ったと思うけど? 」
「…… 」
そう言ったら拓巳は不思議なことを聞いたというように唖然としてしまって暫く言葉も出ないようだった。
「好きじゃなきゃしないもんなのか? 」
そして『目から鱗』状態で不思議そうに尋ねてくる。
それお前、真面目に聞いてるの? まさかそんなこともわからないっての?
「普通はそうだよ、それに、自分の好きな相手が誰かほかの奴とそういうことしてたら大抵の奴は不愉快、っていうか怒ると思うけど? 」
「お前も不愉快なのか? だから最近機嫌が悪いのか? 」
その質問にはちょっと驚いた、俺は最近そんなに機嫌が悪かったのか? そういえば拓巳にわざと辛く当たることが多かったかもしれないか…… ?
「……ああ、まあ…… そうかもね」
言葉尻を濁して答えたけど、その返事を聞いて拓巳はまた黙ってしまった。
「…… 」
ちょっと、なんか言ったらどうなのよ、お前が好きで、お前がほかの奴と出かけるのが不愉快だって言ってるのになんで黙ってるわけ?
長すぎる沈黙、何を考えてるのかわからない、……というよりもしかして何も考えてないのか?
よく考えてみたら、こっちは迂闊にもお前が好きだなんて言っちゃったけど、拓巳からは好きだなんてまだ一言も聞いてないような気がする。
そう言えば、藤木さんももう十年以上好きだと言い続けてるのにまだ一度も拓巳からは好きだと言われたことがないと言ってたような…… ?
まさかこのままずっと誰にも靡かずにすますつもりか? 冗談じゃないぞ。
「お前、藤木さんのこと好き? 」
「…… 」
訊ねても拓巳は答えなかった。
「あ、じゃあ雪柾のことは? 好き? 」
「ああ、アイツは好きだ」
なにその即答は?! なんか腹が立つんだけど?
「吉祥寺は? 」
「……好き、かな? 」
かなってなに? かなってのはさ!
「じゃ、俺は? 」
「…… 」
やっぱり答えがない。
なんなんだ、それは? もしかして俺はコイツの中では藤木さんと同列なのか?
違うだろ? お前は俺を好きなはずだ、だのになんでそう言わないんだ?
「ちょっと、こっち来な! 」
「掃除は? 」
「そんなの後でいいからおいで! 」
頭にきた、言わせてやる! 絶対にお前の口から俺を好きだと言わせてやるからな!
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蜂蜜革命 7 前編
それくらいで引っ込んでくれる藤木さんじゃないのはわかってんだけど、はたして昼近くから嵐になってきた。
「あの男と一日中どこで何をしてたんだ! 」
「なんでお前がここにいるんだ? 」
気色ばんで怒鳴る藤木さんと眉を寄せて不愉快そうに聞き返す拓巳、まるで話が噛みあってなかった。
「アイツはキミのなに? なんであんなヤツと…… 何してたのさ! 」
「……あとにしろ、今は仕事中だ、」
「仕事中くらいしかつかまらないじゃないか! はぐらかさないで、ちゃんと答えなよ! 」
ここまでナリフリ構わずに、みっともないくらい問い詰められるって、ある意味うらやましいよね、こんなに誰かを好きになれるなんてさ、まあ、好かれるほうにしてみたら鬱陶しいのかもしれないけどね。
問い詰められた拓巳は軽くため息をついた、そしてこっちを見ている。
「センセイ? コイツの質問に答えるのは仕事のうちに入るのかい? 」
まさかそう聞かれるとは思わなかったな、でもまあ…… 。
「出来る範囲で、答えてやって、一応お客様だから」
そう答えたのはもちろん自分も拓巳がなんと答えるのか興味があるからなんだけどね。
答えてやれと言われるとは思っていなかったらしい拓巳は一瞬戸惑ったように目が淀んだ、そしてもう一度息をつき、近くの椅子に座って仕方なさそうに話し出す。
「ツーリング、」
「え? 」
「だから、バイクで走ってただけさ、」
「一日中? 」
「一日中、目的地はない、日が落ちるまで遠くに走って、日が落ちたら戻ってくるそれだけだ」
面倒臭そうにそう答える拓巳は別に嘘をついているようには見えなかったけど、でもそれだけじゃあないのも見透かせる。
俺にだってわかるんだから藤木さんが気づかないわけがない。
「嘘、それだけじゃないよね? キスしてたでしょ! 」
「見てたのか? 」
片目で睨む拓巳は一段と不愉快そうになった、そして最近には珍しく斜に構えて声を荒げる。
「蒼は俺に欲しいものをくれる、俺を楽しませてくれる、だから俺も楽しませてやる、フィフティフィフティ、等価交換だろ、それのどこが悪い? 」
「楽しませるって何? 何をしてるの? 何で……!! 」
藤木さんはもう爆発寸前のダイナマイトみたいで見ているほうが怖くなってきた。
この人には前科がある、思いつめたら何をしでかすかわからないんだから、あんまり追い詰めないほうがいいぞ。
最近ではすっかり落ち着いたように見えてたけど、この人の拓巳への思いは強すぎる、あんなことがおこる前は本当に螺子がとんでた、とても正常な人間には見えなかった。
もしまた狂ったら……? それは上手くない事態だ。
でも、問い詰められて追い詰められたのは拓巳のほうも同じだった、いきなり椅子から立ち上がり右手で思い切りテーブルを叩く、顔つきまで違って見えた。
「イライラするんだよ! 毎日何もせず、何も変わらない! 俺はなんのために生きてるんだ?! 」
イライラする?
うわっ、久しぶりに聞いたなそのセリフ、コイツが記憶を失ってから初めて聞くんじゃあないか?
最近は気が抜けるくらいおとなしく仕事をこなすし、すっかり従順になったと思ったんだけど、その分内側に溜まるものがあったってことか?
「何の為って、キミの望みはなんなの? なにがしたいんだ、なんで俺じゃあダメなんだ」
少しトーンを落し、気持ち冷静さを取り戻してきた藤木が尋ねると、さっきまで苛ただし気に唇を震わせてキツイ目で睨んでいた拓巳は、諦めたように深く息をついた。
そして込み上げてくる怒りを諌めようとしているのだろう、目を閉じてもう一度椅子に座り込んだ。
「俺に黙秘権はないのか、センセ? 」
なんでいちいちこっちにフルんだよ、藤木さんまでこっちを睨んでるじゃないか。
「ソレはお前の自由でしょ、でも一度はっきりさせないと藤木さんは引っ込まないよ、それでもいいなら、言わなくても良いんだけど…… ? 」
「…… 」
長い沈黙、たぶん話たくなんかないんだろう。
けれど、前のように逃げ去るワケにはいかないのだ。
ここにいる人間を振り切ってこの場から去る方法はないし、自分ではどうすることも出来ない事態、それは最近では当たり前の状態だった。
「風を…… 感じていたかったんだ、走りたかった、自由になりたかった、蒼はソレを叶えてくれる、俺の我侭に黙って一日中付き合ってくれる、でも俺はアイツになんにも返してやれない…… 」
下を向いてたぶん目を閉じているんだろうその声は時にか細く、微かに震えていた。
「だから蒼が、……こんなボロな身体でも、欲しいと言うならくれてやったっていい、そう思ったんだよ」
「ボロってそんな…… いつからキミはそんなに卑屈な考え方をするようになったんだ、キミの誇りはどこへいったの? 」
「事実だろ? 俺は一人じゃなんにも出来ない、ただの役立たずだ、そこのセンセイも毎日そう言ってるぜ」
え、俺?
藤木さんと、少し離れて話を聞いていた雪柾までがこっちを見た。
「先生、」
「雅人! キミ、拓巳にそんなこと言ってるの? 」
「ちょっと、なんだよ、人聞きの悪い、俺は別に…… 」
そりゃあ少しは言ったかも、 ……っていうか確かに言ってるけど。
「あんなのジョークみたいなもんだろ、そんな深刻にとるようなことじゃあ…… 」
「言ったんですね? 」
「サイテー、」
拓巳は黙って下向いちゃうし、二人には非難の目で見られるしなんかとっても分が悪い?
「ちょっと、ちょっと待ってよ、まさか俺のせいだなんて言わないだろ? 」
慌てて拓巳のほうを見れば、拓巳は視線を落としたまま返事がない、昔からそうなんだ、黙ったまま返事がなくて視線も合わせない時は大抵肯定の意味。
って、ことは…… ?
「俺のせい? 」
やっぱり返事がない、違うなら違うと反論が返ってくるはずだ、反論はない、つまりそれは。
「拓巳? 」
傍までよって、左腕を取った、拓巳は微かに反応したけどやっぱり視線は上げなかった。
拓巳を苦しめているのは俺? 俺に厄介者扱いされるのが辛くて吉祥寺に逃げた、そういう事なのか?!
「ちょっと、こっち来な! 」
左腕を掴んだまま半分引きずるようにして自室まで連れていく。
「二人で話すから、雪柾、藤木さんを見張ってて、中へ入れないでよ、」
部屋のドアを閉じ、中から鍵をかけた。
冗談じゃないぞ!
「確かに俺はそう言ったよ、でもあんなのは本気じゃないに決まってるだろ、まさかお前そんな事気にしてたっての? 」
拓巳は左腕を取られたまま顔も上げない、これじゃあ俺が虐めてるみたいじゃないか、コイツそんなにデリケートにできてたっけ?
「お前が役に立たないなんて思ってないよ、お前はちゃんとやってるじゃないか、拓巳? 」
あんまり顔を上げないから無理矢理上を向かせたら、拓巳の仔猫みたいな目は今にもこぼれそうな涙で潤んでいた。
ヤバイ、その顔は反則じゃないか!
普段あんなに小憎らしいくせになんで時々こんなに可愛いんだよ!
拓巳は仕事だと言われればどんなことでも文句を言わずにきちんとやる、その仕事ぶりは正直言って賞賛に値するとおもう。
身体的にどうしても無理だとわかっていることはさせてないけど、それでも家のなかのことは完璧だし、雑用だろうがメッセンジャーだろうが書類チェックさえ、ほぼ完璧にやってのける。
人より少し時間がかかるのは仕方がない。
だから急ぎの用は雪柾に頼んでるけど、長時間拘束に対する文句もないし、仕事中は本当に拍子抜けしちゃうくらい従順なんだ。
でももしかしたらそれは俺に役立たずと言われたくないから? 出来ないことはどう足掻いても出来ないのだから、せめて言われた仕事だけは完璧にやろうと努力していたんだろうか?
拓巳が「仕事中」に拘るのはその間だけは出来るだけ完璧にこなしたいからなんだろうか?
そういえば、昔、拓巳の第一人格の『タクミ』が、『拓巳』は俺の事が好きなんだ、みたいなことを確か言ってたけど、もしもアレが本当なら…… 好きな人に毎日役立たずと言われ続けるというのはどれほどのストレスなんだろう?
毎日、つもり積もったそのストレスがもうどうにもならないところまで来てしまったら?
以前の拓巳、秋坂なら…… まあそれ以前にストレスなんて溜めないだろうけど、もしそうなったら発散する手段はいくらでもあった、でも今の拓巳にはソレがない。
だから蓄積されたストレスを発散させるために吉祥寺と出かけるのか? だから出かけるとき必ず俺を見るのか?
そう思ったら急に拓巳が愛しく思えてきて、拓巳の瞳から流れ落ちそうになっている涙を指先で軽くぬぐってやってから出来る限り優しく抱きしめた。
「俺はお前が役に立たないなんて本気で思ったことは一度もないよ、お前はよくやってくれてる、お前の入れた珈琲は絶品だし、俺はもうお前の入れた珈琲以外飲まないからね」
それでも拓巳はまだ頑なに顔を上げない、まいったね、そんなに俺に言わせたいのかね。
「拓巳、 ……あのね、一度しか言わないからよく聞いて? 」
「俺はね、以前のお前が好きだった、いつもギラギラしたナイフみたいなお前に惹かれてた、 ……でもね、」
抱きしめている手を緩めて拓巳の目を見返して、そして口づけをしてから続きのセリフを言ってやる。
「今のお前も、以前のお前と同じくらい…… いやそれ以上に、好きだよ、」
「…… 」
そしたら、ついに顔を上げた拓巳の瞳から一筋の涙が伝って落ちた。
その涙を見てたら、なんだか無性にしたくなってきた。
真昼間なのに? 部屋の向こうには雪柾と藤木さんがいるのに? ……どうしよう。
でも、それでも欲しい。
……そう思って手を伸ばしかけた時、拓巳のほうからしがみついてきた。
「?! 」
最初、コイツもその気なのか? と、思ったけど、どうやら違うみたい。
「拓巳? 」
気が付いてみたら拓巳は俺の肩に顔を押し付けて泣いていた。
シャツを固く握り、しがみついて、まるで小さな子どものように、声まで上げて泣きじゃくってる。
「ちょっ……と? 」
こうなったらお手上げだ、こんなに泣かれたらうっかり手も出せないじゃないか、まったくなにがどうしたって言うんだ。
ちょっと角度を変えて顔を覗き込んだら少し青味がかった瞳からは大粒の涙がそれこそ真珠のように光ってて零れ落ちていく。
泣き顔を見られたくないのかそれとももう夢中なのか、目を閉じてイヤイヤと首を振ってからまた顔を埋める。
まいった。
拓巳はいつまでも泣きやまない、これじゃあほんとに子どもじゃないか、……っていうか、もしかしたら本当に子どもなのか?
記憶をなくしてからの拓巳がどうしても以前と同じ人間に思えなくて、散々嫌味も言ったし、虐めもした、だってあまりにも違いすぎて…… 。
それは記憶がないとか、身体が不自由になったとか、そういう単純なことなんかじゃなくて、もっとなにか、根本的なトコが違うような感じだったんだ。
もしかしてソレは拓巳の年齢? 記憶だけじゃなくて培ってきた精神的年齢そのものを忘れたんじゃあないのか?
昔、十五歳の拓巳に会ったことがあるけど、今のコイツの精神年齢はちょうどアレくらい? いや、もう少し低いか? となると十三か四 ……まるっきりお子様だ。
そんな馬鹿なとも思うけど、でもそう考えたほうがなんとなく納得出来るような気がしてきた。
どうしよう…… ?
「藤木さん! 藤木先生! ちょっと!! 」
部屋の鍵をあけ、慌てて藤木さんを呼んだ。
「たしかに、そう言われてみると、最近の拓巳の反応は十四歳くらいの時と似てるかも…… 」
藤木さんは少し驚いたようで、暫く沈黙してしまった。
そして長ーく深ーいため息をつき、酷く落ち込んだように大人気なく拗ねた目をしてこっちを見ている。
「なんか悔しいなあ…… キミに先に気づかれちゃうなんて俺のがあの子との付き合いは長いのに」
すいませんね気付いちゃって、だってあれだけ違うとイヤでもわかっちゃうじゃない。
「ねえ、しばらく拓巳を預かってってもいい? 」
藤木さんが腕組みをして含みのある声で、緑がかったメガネごしにこっちを流し見ながら言った。
「何のために? 」
「そりゃもちろん診察と観察、……だけとは言わないけどね」
相変わらず、妙に正直な人だね、まあソレだけと言われたって、この人がなんにもしないわけはないと思うけどさ。
本人がいいと言えば別に止めはしませんよ。
と、いつもなら言っているところなんだけど、今はもうそうも言えない。
だってアイツが好きだって気付いちゃったから、なにがおこるかわかっててハイどうぞと引き渡せないだろ。
「診察ならウチでやってください、仕事中でもソレくらいは許可しますよ、他の事はダメです、」
「ケチ、」
藤木先生は二十項目ほどの問診の後、「ちょっとだけ、ゴメンネ、」といって拓巳に催眠をかけた。
ソレも一瞬額を押して椅子に座らせたかと思ったらもう眠らせていた。
凄っ! 殆ど神業じゃないか?! この人、技(?)に磨きがかかったね。
そしてさっきと同じ質問をまた繰り返す、不思議なことに意識のあるときと催眠状態のときの答えは微妙に違っている。
質問の最後にさっきは聞かなかった二十一個目の項目がついた。
「タクミ? そこにいる? 」
「……知らない? 」
その答えを聞いてからもう一度額を押してもっと深く眠らせる。
耳元で囁いて、時々頬にキスをして、なんだかただ自分がやりたいことをしてるだけって感じじゃないか?
最後にはもう我慢できなくなったらしい、唇に落とした口づけは深く、悩ましい…… って、コラッ!!
「ちょっとやめてください! 黙って見てれば意識不明中になんてことすんですか! 」
「あ、ゴメン、だってあんまり美味しそうだったから、」
やっぱり最低だ、この人。
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で、朗読劇のほう・・・
本日(22日)19時から先行予約開始でした。
私は待ち構えてて 、即申し込みしたんですが・・・
(手際が悪くてアドレス打ち間違えたり、画像認証ミスったり・・・バカ
)
申し込み開始19時00分。
申し込み完了、19時04分。
・・・なのにすでに整理番号「44」
すげえ・・・(1分あたり10人以上?!・・・ が申し込んでる?!)
会場の「シアターVアカサカ」って、客席数250だぜ。
なんか即日売り切れそうな気が・・・
私は(当然)ハギー&弓削っちの出る
4月4日19時の回を申し込みました。
同日こられるかた、是非お会いしましょうねぇ
★ちなみに先行販売情報です。
-朗読劇「あした〜空の機嫌はどうか〜」-
先行予約:
ローソンチケットにて2/22(金)19:00〜2/26(火)23:59
先行予約受付方法:
http://l-tike.com/zeropro/ (PC・携帯共通)
料金:前売・当日共に 3,300円
シアターVアカサカ<全席自由>
脚本 弓削智久・平野靖幸
■公演日程&キャスト■
4/4(金)19:00 萩野崇・平野靖幸・弓削智久
4/5(土)14:00 吉岡毅志・弓削智久
4/5(土)19:00 萩野崇・吉岡毅志
4/6(日)14:00 大口兼悟・平野靖幸
4/6(日)19:00 大口兼悟・弓削智久
※一般発売は3月1日(土)10:00〜
・・・だそうです。








